営業報告書は、営業内容を可視化することで、ビジネスをより効率的に進めるものです。
今回は、そんな営業報告書を正しく効率的に作る方法や、活用方法について紹介していきます。
どんな会社や担当の方でも役に立つ内容となっていますので、ぜひチェックしてみてください。
Contents
1.営業報告書の役割
まずは、営業報告書の役割について紹介していきます。
売上の裏側を“見える化”する
営業報告書は、営業活動の内容や成果を記録・共有するだけでなく、組織全体の意思決定を支える重要な情報源です。
個々の行動を可視化することで、商談の進捗や顧客の反応を社内全体で把握でき、マーケティングや商品開発、マネジメント改善にまでつながる“ビジネス資源”として活用されています。
報告内容には、数値データだけでなく、営業担当者の所感や顧客の生の声といった定性的な情報も含まれます。
こうした情報は、数字では見えない商談の温度感や課題の兆しを捉えるヒントになり、単なる報告の枠を超えて、戦略の立案や現場改善の出発点となるのが特徴です。
営業
↓
事務
↓
マネージャー/経営層
↓
企画/CS部門へ展開
また、営業報告書の「取りまとめ」業務は、営業スタッフが記録した日報・週報・月報などを収集・整理し、関係者へわかりやすく届ける重要な橋渡しの役割を担います。
達成状況・活動件数・面談内容・次回アクションなど、各営業担当者の動きを俯瞰してまとめるこの業務は、情報の“見える化”と“活かす化を支える核となります。
この業務の本質は、単に情報を整理することではなく、散在する営業情報を“価値ある経営情報”に変換すること。
売上予測、顧客動向の把握、営業戦略の見直しなど、会社の未来を左右するデータの起点となる重要業務です。
営業日報や週報・月報などのフォーマットをもとに、
- 達成状況
- 活動件数
- 面談内容
- 次回アクション
などを取りまとめるこの作業は、報告の“見える化”と“活かす化”を支える重要な役割です。
単に情報整理するだけでなく、散らばった営業情報を価値ある経営情報に変えるのが本質的な役割。
売上予測、顧客動向の把握、営業戦略の見直しなど、会社の未来を左右する重要なデータの源泉となります。
他業務との違い
- 情報が“主観的かつ記述型”になりやすい
- 入力担当者(営業)と確認者(事務)が分かれている
- データが意思決定に直結する
他の事務業務との違いは、時間軸とスピード感。月次決算書類は月末締めで時間に余裕がありますが、営業報告は「今」の数字が求められ、迅速性と正確性の両立が必要です。
2.営業報告書の基本構成と記載・実施項目
営業報告書には、主に以下の項目が含まれます。
項目 | 内容例 |
日付 | 訪問・架電などの活動実施日 |
顧客名/案件名 | 会社名・担当者名・商談案件名 |
活動内容 | 商談/アポイント/ヒアリング等 |
成果・所感 | 受注見込・課題・次アクションなど |
対応者 | 営業担当の氏名 |
よくあるミスと防止策
数値の転記ミスや期間設定の間違いが頻発しがちです。
特に複数の営業担当者からの情報を集約する際、単位の統一漏れ(千円・万円・円)や集計期間のズレが発生しやすいため、チェックリストの作成と複数人でのダブルチェック体制の構築が不可欠です。
また、定性的な情報(課題や所感)の記載漏れも多いため、テンプレート化による入力必須項目の明確化が効果的です。
ミスの例 | 原因 | 防止策 |
記載内容の漏れ・曖昧な表現 | 手書き・自由記述が多い | フォーマット+選択式項目の導入 |
日付や社名の誤記 | 手入力+確認不足 | 入力補助ツール/自動補完機能 |
過去との比較ができない | 定量的記録が不足 | 件数や金額などの数値項目を強化 |
締切に間に合わない | 営業側の優先順位が低い | リマインド自動化+見える化 |
3.営業報告書の通常業務フロー
ここからは、営業報告書の通常業務フローを紹介していきます。
しっかりとフローを見直すことで、業務改善に繋がりますので、確認していきましょう。
「集める」より「整える」工程が大変!
一般的なフローは以下のとおりです。
- 営業が日報・週報を記入(Excel/紙/クラウド)
- 各営業から報告書を回収
- データを取りまとめ(Excel集計・PowerPoint化)
- 関係者への配布・共有
- フィードバック内容を反映・保存
【時間のかかる工程と課題】
最も時間を要するのは「データを取りまとめ」で、全体の40-50%を占めます。
営業担当者ごとに異なるフォーマットや記載方法の統一、数値の再計算、不明点の確認作業が発生するためです。
また、「関係者への配布・共有」も意外に手間がかかり、配布先の管理や個別対応が必要になることが多く、全体業務時間の20-30%程度を占めることもあります。
主な課題
- 提出形式がバラバラ(メール、LINE、手書きなど)
- 回収漏れ・遅れによる催促が日常化
- 集計や報告書化に時間がかかる
- 営業が記入を面倒に感じて雑になる
結果、「本来の分析や改善提案に時間が使えない」状態に陥りがちです。
4.営業報告書の管理・運用上の注意点
営業報告書は、 過去の報告書をすぐに見つけられる環境整備が不可欠です。
過去の報告書は貴重な営業データベースとなるため、ファイル命名規則の統一と階層フォルダ構造の整備が必須です。
おすすめ管理方法
- フォルダ構成を統一(例:年度/月/担当者別)
- ファイル名のルールを設定(例:2025_05_営業報告_田中)
- 台帳で一覧管理(提出日・未提出一覧を確認)
- クラウドストレージ連携(Google Drive、Dropbox)
クラウドストレージを活用する場合は、アクセス権限の適切な設定により、必要な人だけが閲覧できる環境を構築しましょう。
また、バージョン管理機能を活用することで、修正履歴の追跡と誤った版の使用防止が可能になります。
共有時のポイント
- PowerPointではなく、**閲覧+分析しやすい形式(表形式/ダッシュボード)**で
- 経営陣向けは「要点3行+数値1枚」でシンプルに
定期的なバックアップの実施と、万が一の際の復旧手順の明文化も忘れずに。営業データは企業の生命線でもあるため、セキュリティ面での配慮は特に重要です。
5.どこがAIに?“全部やる”から“うまく分ける”へ
ここからは、営業報告書のAIによる効率化について紹介していきます。
完全にAIに頼るのではなく、徐々にAI化していき、業務の効率化を進めていく方法について紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
「書く」「集める」「整える」=AIが得意!
営業報告書の取りまとめ業務は、実は3つの工程に分解できます。
工程 | 担当者 | 自動化の可否 |
入力 | 営業本人 | 半自動(音声入力・定型フォーム) |
集計・整形 | 事務 | 自動化しやすい |
提出・報告書化 | 事務/マネージャー | テンプレで効率化可 |
AIが活躍する場面
- 営業の音声→テキスト変換(音声入力+AI要約)
- 書式チェック(定型ルールの自動化)
- データ収集と並べ替え(RPA+Google Apps Script)
- スライド自動作成(ChatGPT+PowerPoint連携)
人が担うべきこと
- 営業戦略の解釈・提案:報告内容から戦略の提案
- Wチェック:抜け漏れや矛盾のチェック
- 定性情報の精査:あいまい表現を具体化
- マネジメント報告時の要約・伝え方の工夫:要点を整理し端的に伝達
6.営業報告書の業務効率化とオートメーションの具体策
ここからは、営業報告書の業務効率化とオートメーションの具体策について紹介していきます。
Before/Afterをもとにわかりやすく紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
営業報告書の業務効率化とオートメーションの具体策Before/After
項目 | Before | After | 改善効果 |
データ収集・集計 | 手作業で各担当者から回収・Excel手入力(4時間) | 自動集計システムで一括処理(30分) | 87.5%短縮 |
グラフ・表作成 | 手作業でExcel作成(2時間) | テンプレート自動生成(10分) | 91.7%短縮 |
配布・共有 | 個別メール送信・印刷配布(1時間) | 自動配信システム(5分) | 91.7%短縮 |
全体作業時間 | 月40時間 | 月8時間 | 80%短縮 |
活用ツール例
- ChatGPT+Googleフォーム+Google Apps Script
音声入力→要約→スプレッドシート化→グラフ可視化まで自動化
活用例)作業時間を5時間→45分に短縮 - tl;dv/Otter.ai/Notta(AI文字起こし)
→打ち合わせ内容を自動で要約・記録し、営業報告に転用可能
コスト面では、例えば月40時間削減となった場合、×時給換算2,000円で月あたり80,000円の人件費削減効果があり、ツール導入費用(月額20,000円程度)を差し引いても年間720,000円の削減効果が期待できます。
7.営業報告書の効率化導入ステップ
ここからは、営業報告書の効率化導入ステップについて紹介していきます。
実務ベースでリアルな効率化について紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
STEP1:現状分析とテンプレート整備(1-2週間)
まず現在の営業報告書を全て収集し、記載項目や形式を整理しましょう。営業担当者へのヒアリングも実施し、どの項目に時間がかかっているか、どこで躓きやすいかを把握します。
次に、統一テンプレートを作成します。Excelまたは Google Sheetsで、以下の構成を基本とした入力フォームを作りましょう。
- 基本情報入力欄(日付、名前、部署は自動入力設定)
- 数値入力欄(売上、件数等はプルダウンや入力規則で制限)
- 選択式項目(進捗状況、重要度等)
- 自由記述欄(最小限に)
テンプレートには入力例とヘルプテキストを併記し、誰でも迷わず入力できるよう配慮してください。
STEP2:データ集計の自動化(2-3週間)
Microsoft Power AutomateまたはGoogle Apps Scriptを使用して、個別の報告書から全体集計への流れを自動化します。
【Power Automate設定手順】
- 「フロー作成」→「自動化されたクラウドフロー」を選択
- トリガーを「SharePointでファイルが作成されたとき」に設定
- 「Excelオンラインでテーブルの行を取得」アクションを追加
- 「変数の初期化」で集計用変数を設定
- 「Apply to each」で各行をループ処理し、数値を集計
- 「Excelオンラインで行を更新」で集計結果を別シートに出力
- 「Outlookでメールを送信」で完了通知を設定
初回設定後は、営業担当者がテンプレートに入力してSharePointにアップロードするだけで、自動的に集計処理が開始されます。
STEP3:レポート作成の半自動化(2-3週間)
集計されたデータを基に、自動でグラフや表を生成する仕組みを構築します。
Power BIやTableauのようなBIツールを使用すると効果的ですが、予算が限られる場合はExcelのピボットテーブルとマクロ機能でも代用可能です。
【Excelマクロ例】
Sub CreateSalesReport()
‘データ範囲を自動選択
‘ピボットテーブル作成
‘グラフ自動生成
‘フォーマット調整
‘印刷設定
End Sub
この段階で、データ入力から基本レポート完成まで90%が自動化されます。
STEP4:配布・フィードバック機能の整備(1週間)
完成したレポートの自動配布システムを構築します。Power Automateの「承認」機能を使用すれば、作成者による最終確認後の自動送信が可能です。
配布リストはExcelで管理し、部署や役職に応じた送信先の自動振り分けを設定しましょう。また、受信者からのフィードバックを収集するためのフォーム(Microsoft FormsやGoogle Forms)も併せて整備します。
STEP5:運用開始と改善サイクル(継続)
小規模チーム(3-5名)で1ヶ月間のテスト運用を実施します。この期間中に発生した問題点や改善要望を記録し、システムの調整を行います。
テスト運用が成功したら、段階的に対象を拡大していきます。月1回の定期レビューミーティングを設置し、利用者からのフィードバックを基にした継続的な改善を実施してください。
【成功のポイント】
- 営業担当者への丁寧な説明と操作研修の実施
- 困ったときの相談窓口の明確化
- 従来方式との並行運用期間の設定
- 定量的な効果測定と成果の共有
この7ステップを順次実行することで、3-4ヶ月後には営業報告書業務の大幅な効率化を実現できます。重要なのは一気に全てを変えるのではなく、段階的に導入して関係者の理解を得ながら進めることです。
営業報告書を集める・まとめる一見地味なこの作業こそ、会社の動きを記録し、次の一手を生み出す“情報のハブ”。AIとのタッグで煩雑さを手放し、もっと「伝わる」「使える」かたちへアップデートしていきましょう。
あなたの“まとめ力”が、組織の動きを加速させることになります!
まとめ
今回は、営業報告書についての業務改善や効率化について紹介しました。
営業報告書業務を正しく効率的に行うだけでも、営業の見える化が進み、大きく売上が上がる可能性があります。
今回紹介した内容は、少し面倒な部分はあるものの、難しい内容ではないので、ぜひ一つ一つ取り入れてみてくださいね。
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