納品書は、商品やサービスを納品した際に「何を、どれだけ、いつ納めたか」を記録する重要な書類で、作成や管理業務は非常に大切です。
ただ、大きい企業になればなるほど、納品書も増えていくので、どうしてもムダが多くなってしまうでしょう。
今回は、そんな納品書の作成、管理業務について紹介していきます。
基礎的な業務から、AI化で効率的に進める方法を紹介していきますので、事務力をあげたい方はぜひチェックしてみてください。
Contents
1.納品書とは
納品書は、商品やサービスを納品した際に「何を、どれだけ、いつ納めたか」を記録する重要な書類です。
発行者は主に売り手側で、買い手が受領し、納品の内容に問題がないことを確認する役割を果たし、取引の透明性を保つために欠かせません。
見積書・請求書との違いは、目的とタイミング。
- 見積書:契約前に金額や条件を提示
- 納品書:納品時に品目・数量などを伝える
- 請求書:納品後、代金を請求するために発行
納品書は取引の流れの中で「実際に商品が渡された」タイミングを記録する重要な位置にあります。請求書作成の根拠にもなるため、正確性が求められます。
まず、法的証拠として、納品内容や数量・日付を証明する書類となり、万が一のトラブル時にも取引の事実を裏付ける根拠になります。
次に、在庫管理の面では、出荷実績の記録として活用され、在庫数の正確な把握に役立ちます。
また、売上計上においても、出荷基準で売上を認識する企業にとって、納品書は収益認識の重要な根拠です。
さらに、顧客対応では、納品書があれば配送状況を確認できるため、問い合わせ対応もスムーズになります。
このように、納品書は信頼性の高い業務運用を支える重要な書類です。
2.納品書作成の基本構成と記載・実施項目
間違えるとトラブルに直結!納品書の必須項目を紹介していきます。
納品書に記載すべき主な項目は以下の通りです。
項目 | 内容例 |
発行日 | 2025年5月29日 |
納品書番号 | ND-20250529-001 |
発行者情報 | 自社名、住所、電話番号、担当者名 |
宛先 | 取引先の会社名、住所、担当者名 |
商品情報 | 品名、品番、数量、単価、金額 |
合計金額 | 小計、消費税、合計金額 |
備考 | 特記事項、注意事項など |
よくあるミスとその防止策
3.納品書作成の通常業務フロー
シンプルに見えて地味に大変…納品書作成の裏側
納品書の作成〜管理の流れは以下の通り。
4.納品書作成の各ステップの詳細と課題
一見シンプルに見える納品までの流れも、各工程にはさまざまな工夫や注意点があります。
ここでは、それぞれのステップでどんな作業が発生しやすく、どこに課題が潜んでいるのかを具体的に見ていきましょう。
Step 1: 注文内容の確認
- 注文書の内容チェック
- 在庫状況の確認
課題:複数の書類を行き来する手間(平均5分/件)
Step 2: 商品情報の転記
- Excelやシステムへの手入力
- 単価・数量の計算
課題:転記ミスのリスク、計算間違い(修正に平均10分)
Step 3: レイアウト調整
- 体裁の整理
- 印刷・PDFの出力
課題:フォーマット統一の手間(平均3分/件)
Step 4: 承認・確認
- 上司チェック
- 顧客情報の最終確認
課題:承認待ちの時間(平均30分)
Step 5: 発送・管理
- 納品書の発送
- 控えのファイリング
課題:物理的な管理の手間
5.納品書の管理・運用上の注意点
「あの納品書どこ?」をなくす、賢い管理ルール
納品書の適切な管理は、後々の請求書発行や納品トラブル対応に直結します。
整理のポイント
- 納品書番号で一意管理(通し番号や日付+連番など)
- 発行日や取引先で検索できるフォルダ・ファイル名ルール
- 電子保存の場合、PDF+Excelなど複数形式の保存も有効
ファイル命名規則例:
240529_001_ABC商事_納品書.pdf
(日付_連番_顧客名_書類種別)
ファイル管理例
📁納品書
├─📁2025年
│ ├─📁05月
│ │ ├─📄ND-20250529-001_〇〇商事.pdf
6.どこがAIに?“全部やる”から“うまく分ける”へ
ここからは、納品書業務にうまくAIを活用して、正確に効率化していく方法を紹介していきます。
難しいことは一切なく、特別な知識や経験がなくてもできる内容となっていますので、ぜひご確認ください。
AIに置き換え可能な部分 🤖
データ入力・転記作業(80%自動化可能)
- 注文書からの商品情報抽出
- 単価・数量の自動計算
- 顧客情報の自動入力
書類フォーマット作成(90%自動化可能)
- テンプレートへの自動反映
- レイアウト調整
- PDF生成
基本的なチェック作業(70%自動化可能)
- 計算ミスの検出
- 必須項目の入力確認
- 重複チェック
人が担うべき業務
判断が必要な業務:例外対応や個別要望には、現場を読む力と判断の責任が求められる
関係性構築:信頼は日々の対話と気配りの積み重ねでしか生まれない
最終責任:内容の正確さと顧客満足を最終的に保証できるのは人だけ
7.納品書業務の業務効率化とオートメーションの具体策
ここからは、納品書業務に関して、具体的に効率化、オートメーションしていく方法について紹介していきます。
実務ベースから内容を紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
Before/After比較表
工程 | 従来業務 | AI・自動化導入後 |
情報入力(商品・顧客) | 手入力 | マスタ連携・自動取得 |
納品書作成 | Excel手作業 | GAS・ツールで自動生成 |
PDF化+メール送付 | 手作業/印刷+送信 | 自動送付(宛先自動化) |
データ保存・共有 | ローカル管理 | クラウドで自動整理 |
工程 | Before(手作業) | After(AI活用) | 時間短縮効果 |
注文内容確認 | 5分/件 | 1分/件 | 80%削減 |
データ入力 | 10分/件 | 2分/件 | 80%削減 |
計算・チェック | 3分/件 | 自動実行 | 100%削減 |
書類作成 | 5分/件 | 1分/件 | 80%削減 |
ファイリング | 2分/件 | 自動保存 | 100%削減 |
合計 | 25分/件 | 4分/件 | 84%削減 |
使えるツールと導入効果
無料版
ツール名 | 主な機能 | 定量効果 |
Google Apps Script | スプレシート連携で自動作成・保存 | 作業時間80%削減(1日1時間→12分) |
RPA(Power Automateなど) | ファイルの自動送信・保存 | 手作業を月15時間→3時間に短縮 |
Make(旧Integromat) | 他ツールとの連携で業務自動化 | エラー率95%低減 |
有料版
ツール名 | 機能 | 月額費用 | 削減時間 | ROI |
freee | 請求書連携 | 2,000円~ | 15分/件 | 300% |
マネーフォワード | 自動化機能 | 3,000円~ | 18分/件 | 250% |
楽楽明細 | 帳票自動化 | 10,000円~ | 20分/件 | 200% |
月間50件の納品書作成の場合
-削減時間:21分/件 × 50件 = 1,750分(約29時間)
-人件費削減:29時間 × 2,000円 = 58,000円/月
-ツール費用:3,000円/月
-実質効果:55,000円/月の削減
8.納品書業務効率化の導入ステップ
ここからは、今日からできる納品書業務の効率化の導入ステップを紹介していきます。
一つ一つ確認して導入していくことで、納品書業務を正確に効率的に進めることができるので、ぜひチェックしてみてください。
Phase 1: 準備期間(1-2週間)
Step 1: 現状分析
- 月間作成件数の把握
- 作業時間の計測
- 課題の洗い出し
実践方法:
- 1週間、作業時間を記録する
- ミスの発生パターンを記録する
- 改善したい点をリストアップする
Step 2: テンプレート統一
- 現在使用している書式の整理
- 必要項目の再確認
- 標準フォーマットの決定
実践方法
- 既存の納品書をすべて収集
- 項目の違いを比較表で整理
- 顧客別の特別要求をリスト化
- 統一フォーマットの試作版を作成
Phase 2: 部分導入(2-4週間)
Step 3: ツール選定と設定
- 予算と機能のバランスを考慮
- 無料トライアルの活用
- 基本設定の完了
実践方法:
- 1週目:ツール比較・選定
- 2週目:アカウント作成・基本設定
- 3週目:テンプレート作成・テスト
- 4週目:実際の案件で試運用
Step 4: マスタデータの整備
- 顧客情報の登録
- 商品情報の登録
- 価格情報の登録
チェックリスト
- 顧客マスタ(会社名、住所、担当者)
- 商品マスタ(品名、品番、単価)
- 税区分の設定
- 連番設定
- 承認フローの設定
Phase 3: 本格運用(1-2ヶ月)
Step 5: 段階的な適用拡大
Week 1-2: 新規案件のみ適用
- 慣れるまでは件数を限定
- 従来方法と並行実施
- 問題点の洗い出し
Week 3-4: 適用範囲を50%に拡大
- 定期取引先から優先的に移行
- 作業時間の測定継続
- チーム内での知識共有
Week 5-8: 全面移行
- すべての納品書をシステム化
- 旧システムからの完全移行
- 効果測定とレポート作成
Step 6: ルール整備と教育
運用ルールの制定
- 入力ルールの標準化
- チェック体制の明文化
- エラー対応マニュアルの作成
チーム教育:
- システム操作研修(2時間)
- トラブルシューティング研修(1時間)
- 定期的なスキルアップ研修(月1回)
- ベストプラクティスの共有会(月1回)
Phase 4: 継続改善(継続実施)
Step 7: 効果測定と改善
月次レビューの実施
- 処理時間の測定
- エラー率の把握
- 顧客満足度の確認
- コスト効果の算出
改善活動
- 作業手順の見直し
- システム設定の最適化
- 新機能の導入検討
- 他業務への横展開
導入完了のチェックリスト
以下すべてを満たした時点で導入完了とします。
- 処理時間:80%以上削減
- エラー率:50%以上削減
- 顧客満足度:現状維持以上
- ROI:200%以上達成
「納品書作成」は、ただのルーティンではありません。
業務品質や顧客対応力を左右する重要なプロセスです。
AIを活用することで、作業時間を削減しながら、より付加価値の高い業務への集中が可能になります。
まずは部分的な自動化からスタートし、段階的に最適化していくことが成果への近道です。
人の判断とテクノロジーを組み合わせた“次の事務スタイル”を、一歩ずつ形にしていきましょう。
まとめ
今回は、納品書作成業務について紹介しました。
納品書の作成は、重要な業務なので、正確に効率的に進めていく必要があります。
今回紹介した方法は、実務で実際に効果があったものですので、ぜひ取り入れられる内容から取り入れていってくださいね。
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